「コーチング」の特徴について「ティーチング」「カウンセリング」との違いを軸に解説します。それぞれ目的や適用範囲が違うため、適切な場面で適切な手段を選ぶときなどに役立ててください。
コーチング、ティーチング、カウンセリングの違い
コーチングは、相手の中にある答えを引き出すコミュニケーションです。コーチはアドバイスや指導をするのではなく、相手が自ら考え行動する力を引き出す役割を担います。
ティーチングは、教えることを中心とした教育的なアプローチです。教師や講師が、知識や技術を伝授し、指導やアドバイスを行います。その知識を教えることで、相手の成長や問題解決を助けることが目的です。
カウンセリングは、心理的な問題や悩みを持つ相手に対して、話を聞くことで気持ちを落ち着かせ、問題解決や自己理解の手助けをする関わりです。相手を尊重し、無条件の肯定や同意を示しながら、相手が自分で問題を解決できるよう支援します。
このように、目的やアプローチ方法、スタンスが異なるため、活用場面も違ってきます。
コーチングは、ビジネスやスポーツなどの目標達成や、自己実現、自己成長を望む場面で活用されます。一方、ティーチングは、学校や研修など特定の知識や技術を習得する場面で適用されます。
カウンセリングは、メンタルヘルスや人間関係など、心理的な問題や悩みを解決するために利用されます。
それぞれの目的や特徴をまとめると?
これら3つの手法はそれぞれ異なる目的と特徴があり、状況や目的に応じて適切に使いこなすことが大切です。そうすることで、自分にとって意味のある成果を得ることができます。
表にまとめるとこのようになります。
コーチング | ティーチング | カウンセリング | |
対象 | 夢や目標に向けて頑張っている人 | 特定の知識や技術を習得したい人 | 精神的な問題や悩みを抱えている人 |
目的 | 自己実現、自分らしい人生 | 知識の増強 | 健全な社会生活 |
アプローチ | 相手の中にある可能性やアイディアを引き出す | 相手に教える、与える | 相手に共感し、回復を手助けする(治療) |
基本スタンス | ・人には無限の可能性がある ・答えは相手がもっている ・答えを引き出すパートナーになる | 自分のもっている知識・情報・ノウハウを相手に提供する。 | ・無条件の肯定的関心 (相手の行動や考え方に同意しなくても、その人自体を尊重する態度を大切にする) ・共感的理解 (相手の心の基準で相手の立場に立って感じる) ・自己一致 (自分自身を偽らず、素直で誠実な態度で相手と接する) |
知っておきたい、コーチングの三原則
コーチングの三原則として「インタラクティブ」「オンゴーイング」「テーラーメイド」の概念があります。
これらの原則はコーチングプロセスの特徴を端的にあらわしており、コーチはこの三原則を意識してクライアントと関わり、成長や変化をサポートすることを求められます。
コーチングを受ける際にも知っておくとよいと思います。
① インタラクティブ
インタラクティブとは、コーチとクライアントが相互にコミュニケーションを行い、協力し合って目標達成に向けて取り組むことを指します。
コーチが質問をしたり、フィードバックを提供したりすることで、クライアントは自己理解を深め、新しい視点やアイデアを発見します。この相互作用を通じて、クライアントは自分自身の成長や変化のために積極的に行動することができるようになります。
② オンゴーイング
オンゴーイングとは、コーチングが一度限りのセッションではなく、継続的なプロセスであることを意味します。
コーチは、クライアントがゴールにたどり着くまでの道のりをサポートます。例えば、クライアントの内なる目標の明確化を手助けし、目標達成の過程で生じる挑戦や障壁に対処するためのアイディアを引き出します。
クライアントは、定期的なセッションを通じて、自分の進捗を評価し、計画を調整し、新たな目標を設定することができます。
③ テーラーメイド
テーラーメイドとは、コーチングが個々のクライアントのニーズ、目標、背景に合わせてカスタマイズされることを指します。
コーチは、クライアントの独自の状況や課題に対応するために、さまざまな手法やアプローチを用いて対応します。これにより、コーチングプロセスはクライアントにとって最も効果的で意義のあるものとなります。
まとめ
アメリカでは大企業のCEOの7割にコーチがついていると言われていますが、日本ではまだそこまで一般的でないのが現状です。
今回は「コーチング」の概念を共有したく「ティーチング」「カウンセリング」との違いについて整理してみました。
コーチングの特徴についてはいろいろな説明の仕方がありますが、「ティーチング」と「カウンセリング」との比較は、多くの方にとってイメージがつきやすいのではないでしょうか。
ご自身の状況や目的に応じて、適切なサポートを得たいときにぜひ役立ててください!